Lecture 1:
はじめに
Lecture Content
今日は「短時間で部下・後輩のやる気と成果を引き出す解決志向型コミュニケーション講座」5時間をご受講くださいまして誠にありがとうございます。
私は講師の田中理沙と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、こちらをご覧になっている皆さんは、おそらく部下や後輩が既にいらっしゃる、または部下や後輩をこれから持つという方だと思いますが、こんなお悩みはないでしょうか。
「なかなか部下や後輩が育たないんだよね」
「育成にかける時間が十分取れないんだよね」
「最近のちょっと若い子はしっかりとやる気がすぐダウンしてしまうんだよね」
実は、これは私が抱えていた悩みでもあります。
私は航空会社の客室乗務員、それから専門サービス業の現場スタッフの育成、そして現在の研修講師と全ての仕事で育成というものに関わってまいりました。ただ、常に難しさを感じていたのは、
どうしたら限られた時間の中で、部下後輩の課題を解決して業務の成果に繋げることができるんだろうか。
どうしたら部下後輩のやる気を引き出す関わり方ができるんだろうか。
ということです。
そんな私の育成に対する意識を大きく変えたものが、実は今日のテーマ「解決思考」という考え方だったんです。この考えをを学んでから、短時間でやる気を引き出しながら成果につながっていくんだという感覚を得ることができました。
そして、育成というものに自信を持つことができるようになりました。
もちろん、今日ご紹介する解決思考だけが、唯一無二の育成の正解ではないですが、確実に皆様の育成コミュニケーションの成長に役立つはずです。是非、自分だったらいつどんな風にこれを使ってみようかな、というようなアイデアをメモしながら、ご受講いただけたらと思います。
それでは、今日は12のセクションに分けて進めてまいります。
ではまず最初に、ウォーミングアップということでクイズから入りたいと思います。
あるイタリアの化学工場での実話です。
その会社は安全管理のために作業員にゴーグルこちらをつけることを徹底させたかった。だが全然従業員がつけてくれない、という問題を抱えていました。管理職がどんなにつけろつけろと言っても、なかなかつけてくれません。
しかし、あることを行ったことで自立的に着用する割合が、驚くほど上がったと言います。
さて何を行ったのでしょうか?
さて、正解を発表します。正解は「ゴーグルをかっこいいミラーのサングラス風にデザインした」というものなんです。
皆様いかがでしたでしょうか?
実は、私このクイズを最初に出された時に、最初に思い浮かんだことが「ペナルティを与える」ということでした。次に思いついたものが、保証を与えるだとか監視を強めるだとか、従業員の教育を再徹底すればいいんじゃないの、というようなでした。
だからこそ、この答えが意外すぎてびっくりしました。
実は、この会社の管理職たちも、最初は先程私がお伝えしたようなペナルティとか教育という問題解決方法を考えていました。その時は経営者層は会議で、なぜゴーグルをつけないんだろうか?なぜあの人たちはゴーグルをつけないのか?という問いで、着用率の低い原因をいろいろ探っていきました。
そこで出てきたのは「従業員の教育レベルが理由だろう」と言った従業員の原因、あとは「管理職のコミュニケーション能力が低いんじゃないか」という従業員に、上から高圧的な態度で臨んでいるから反発してるんじゃないか、というような管理職側の原因が出てきたのです。
そして何が起こったかというと、責任の擦り合いでした。具体的な解決策までは議論が進まなかったと言うのです。
そこで、あるコンサルタントがまずこんな問いを投げました。
「どうすればゴーグルをつけるようになるのか?」
そうすると、面白いことにポンポンポンポンとアイデアが出てきたそうです。
「もっとかっこいいゴーグルなら、喜んでつけるんじゃないの」
最初は、この発言に対しても周囲からは笑いが漏れました。そんなの言えるわけないよ、というような笑いが漏れたんですが、コンサルタントは「いいですね、それやりましょう」という風にして、トントントントンと「ゴーグルのデザイン変更」というアイデアが実現していき、結果、全員が喜んで着用するようになったのです。
実は、ここに「解決志向型コミュニケーションの力」がありました。次のセクションから、解決志向型コミュニケーションとは一体どんなコミュニケーションなのか、ということを詳しく見ていきたいと思います 。